外来診療
術前紹介、周術期管理
久留米大学病院で手術を受ける予定の方に対して、手術前や周術期に対する相談を受けます。
局所麻酔薬アレルギーに対する相談
必要な場合、麻酔科外来にてアレルギーのテストを行っています。
分娩麻酔
お産の①苦しい痛み、②不安、③ストレス、④疲労を無理なく緩和します。
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痛くない分娩
当大学での分娩麻酔法は欧米諸国で広く行われている硬膜外麻酔行うことによって、主に下半身に麻酔を行い、分娩の痛みを取り除くというような 方法です。もちろん下半身の麻酔ですから意識もはっきりしていますし、麻酔の調節を行い、自分で“いきむ”ことによって出産することも可能です。
また、生まれたばかりの“赤ちゃん”を自分で抱き上げることもできます。 -
下半身の麻酔による分娩麻酔の特徴
- 陣痛の痛みが1/10~3/10程度に軽くなります。
- 筋肉の緊張がとけるため、産道が柔らかくなり、お産が進みやすくなります。
- 過度の痛みを長時間受けることがありませんので、ストレスが軽減でき、母子共に体力の消耗を防ぐことができます。
- 自然分娩と同様に“いきむ”ことができ、赤ちゃん誕生の喜びを得ることができます。
- 会陰切開縫合時の痛みも少なくなります。
- 血圧や心拍数の異常な増加も麻酔により調節することができます。
- 分娩監視装置でお産の初めから終わりまで、母子の状態を把握することができます。
ほとんどの妊婦さんに、この方法を行うことができます。
より安全な出産を迎えるために“分娩麻酔”が最適な妊婦さんもいらっしゃいます。
例えば、過度のストレスを受けてはいけない心臓病の方、妊娠高血圧症候群の方、 うまくお産の進まない(軟産道強靱症)の方、痛みや不安に耐えることのできない方、などです。
逆に、血液が固まりにくい方、以前に帝王切開を受けられた方などはこの方法が行えませんのでご了承下さい。 -
麻酔方法
意識のあるまま硬膜外麻酔という主に下半身の麻酔法で“分娩麻酔”を行います。
横向きになって丸くなります。どちらの麻酔も背骨のあたりまで注射しますので、腰のあたりを消毒したら、最初に痛くないように二カ所ほど痛み止めの注射を行います。硬膜外麻酔
脊髄という大きな神経を護る袋状の膜(硬膜)の外側に非常に細いチューブを入れます。このチューブを通して麻酔薬をお産の間中、流すことができます。 痛みの大きさや麻酔の効き具合、そしてもちろん赤ちゃんとお母さんの様子を観察しながら量を調節することができます。
分娩中の麻酔
分娩中は、分娩の進行具合と痛み具合を産科の先生とみていきながら、麻酔薬の量を調節し、痛みをコントロールしていきます。
痛みがうまく調節できれば、お母さんも楽にいきめ、赤ちゃんも楽に産道を通過できます。 -
使用する薬剤
ロピバカインという局所麻酔薬とフェンタニルという麻薬を用います。これらの麻酔薬によって出ると考えられる副作用は、悪心、嘔吐、痒みなどがあります。 さらに血圧が低くなったり、心臓の動きが悪くなったり、場合によってはアレルギーによるショックの状態も考えられます。
このような副作用は十分に検査を行った場合にも 出ることがあります。しかし、どちらの薬も手術時に使用する量の1/4~1/8程度ですので、副作用も非常に少なくなります。 -
分娩麻酔の麻酔科的合併症
- 痒み - 最も頻度の高い合併症です。薬液の効果の消失とともになくなります。
- 頭痛 - 頻度の多い合併症です。脊髄の膜から液が漏れてくることによって発生します。立った時に強くなりますので、横になって静かに休んで下さい。1%以下の頻度くらいです。
- 背部痛 - 針を刺した後の痛みです。
次第に良くなりますがあまり続くようであればご連絡下さい。 - 硬膜外血腫 - ごく稀ですが血液の固まりにくい方にできることがあります。
強い背中の痛みが出て、感覚の麻痺や足の動きが悪くなることがあります。 - 神経麻痺 - 注射をする時に脊髄の細い枝分かれをした神経を傷つける可能性があります。たいてい痛みはすぐ治まりますが、2~3ヶ月続く方が0.01%おられます。
この場合、しばらく当科で様子をみていきます。 - 硬膜外膿瘍・髄膜炎 - 稀ではありますが挿入したカテーテルが感染源となり、膿瘍をつくり髄膜炎を発症することがあります。カテーテルを長い間入れている方や、体力や免疫能が非常に弱くなった方にできやすい様です。
最初の発症は麻酔より約1ヶ月以内に高熱、背部痛が出現するようです。 - 麻酔薬の血管内注入 - 中枢神経や心臓の中毒を生じ、痙攣がおき、非常に稀ですが心停止に至ることも考えられます。